

Mr.Friendly(営業担当):
博士、ちょっと気になったんですが…商品名に「でんぶ」ってひらがなで書いてあるものと、「田夫」って漢字のものがありますよね。あれって、何か違いがあるんですか?
佃煮博士:
ふむ、よいところに目をつけたのじゃ。「でんぶ」も「田夫」も、元は同じ言葉じゃが、表記によって印象がずいぶん変わるのじゃよ。
Mr.Friendly:
「田夫」って、なんだか昔の言葉みたいな響きがありますね。
佃煮博士:
その通り。
「田夫」とは元々、“田舎者”や“農夫”を意味する言葉で、素朴な料理を指すこともあったのじゃ。魚をほぐして煎った料理が、そうした“田夫料理”と呼ばれ、それが時を経て「でんぶ」と呼ばれるようになったのじゃ。
Mr.Friendly:
なるほど…じゃあ、「でんぶ」はその言葉がやわらかくなった形なんですね。
佃煮博士:
うむ。今では「田麩」という漢字があてられることも多いが、ひらがなの「でんぶ」は音のやさしさがあり、食卓にふんわりと馴染む。表記ひとつで、料理の印象もずいぶん変わるものじゃよ。
Mr.Friendly:
なるほど…表記ひとつで、こんなにも語れるんですね。
佃煮博士:
うむ。「田夫」は言葉の根、「でんぶ」はその花。炊きとは、素材と語り合うことなのじゃ。
事務員のぼそっと:
博士、“素材と語り合う”のはいいんですけど、納期とも語り合ってください。
言葉の由来も、炊きの哲学も…結局、諸説ありってことで帳簿には“余白”として残しておきます。
